「暑中見舞い」と「残暑見舞い」

「暑中見舞い」とは?(起源・由来について)

「暑中見舞い」は、猛暑期に普段なかなか会えない方やお世話になった方の健康を気遣い壮健に過ごして欲しいとの願いを届ける夏のあいさつ状です。近況報告などをかわす意味合いもあります。

この習慣は、江戸時代に生まれたといわれています。
その由来は、お盆に里帰りする際、直接、品を持参して祖先の霊に捧げていたことによります。江戸時代になると、お世話になっている人全般への贈答の習慣になっていきました。遠方で訪問できないお宅には、飛脚便を使って贈り物や書状を届けていました。
それが、明治6年の郵便制度の発達とともに、この贈答の習慣が簡素化されあいさつ状を送る習慣になっていき、大正時代に現在の「暑中見舞い」という形が定着しました。

「暑中見舞い」「残暑見舞い」を送る時期について

暑中見舞い

二十四節気の「小暑(7月7日頃)」~「立秋の前日(8月7日頃)」にかけて送るのが通例です。実際の暑さより暦が基準になります。立秋の前日までに届かないようであれば、「残暑見舞い」として送ります。

残暑見舞い

「立秋(8月8日頃)」~8月末頃までに届くよう送りましょう。遅くても「処暑の候(9月7日頃まで)」に届くように送ります。

書き方

まずは「暑中見舞い」と「残暑見舞い」の構成を理解しておきましょう。
基本的に、お見舞いのあいさつ・時候のあいさつからはじまる主文・結びのあいさつ・日付の4つのブロックから成り立っています。

◎お見舞いのあいさつ

はじめに「暑中(残暑)お見舞い申し上げます」や「暑中(残暑)お伺い申し上げます」など、お見舞いのあいさつを述べます。本文よりやや大きめの文字で書くことにより見栄えが良くなります。句点「。」は書く必要はありません。

時候のあいさつからはじまる主文

時候のあいさつと相手の健康を気遣う言葉 自分が感じているその時の季節感を書きます。相手が住んでいる土地柄や気候に合った表現がよいでしょう。そのあとに、相手の健康を気遣う言葉を続けます。お世話になったことがあればそのお礼も伝えると印象が良くなります。

自分の仕事やプライベートの近況報告 時候のあいさつに相手を気遣う言葉が入っていない場合には、健康を気遣う言葉を書きます。日頃の感謝やお詫びがあればそちらも伝えましょう。そのあとに、自分や家族の近況、夏の帰省予定など自分らしいエピソードを書くとよいでしょう。夏休みの旅行先から家族や友人に向けて旅先の感想などを添えるのも喜ばれます。

◎結びのあいさつ

「暑中見舞い」「残暑見舞い」の主旨である、相手の健康を気遣い、無事を祈る思いやりあるひと言で最後を締めくくるとよいでしょう。

◎日付

詳細な日付は入れず、年数の下に、暑中見舞いの場合は「盛夏」、残暑見舞いの場合は「晩夏」「立秋」「葉月」などの言葉を書きます。

「暑中見舞い」「残暑見舞い」の返事について

「暑中見舞い」「残暑見舞い」は、礼儀として相手と交換するものと考えてください。ですから、暑中(残暑)見舞いをいただいた場合には、自分からも送るようにしましょう。特に、目上の方から先にいただいた場合には、返信は必須です。その際、相手に届く時期により「暑中見舞い」または「残暑見舞い」となりますので、送る時期の確認意識を持ちましょう。「早く出しておけばよかった」と焦らないように、先手で送りたいものですね。